「イノスペ」イベントレポートの後半では、第三部の様子をお届けします。

## 林千晶さん「富山は、これから変わっていく予感がしています」

第二部のランチタイム・ワープタイムを経たあとは、ワークショップ『イノベーティブスペースを活用したニュープロジェクトを考えよう』へ。

交流・共創スペースの『Sketch Lab(スケッチラボ)』、インキュベーション施設の『HATCH(ハッチ)』、泊まれる図書館『寄処(よすが)』、イベント&シェアスペースの『花水木ノ庭(はなみずきのにわ)』、『RAIL SIDE TABLE(レールサイドテーブル)』の5カ所を活用した新しいプロジェクトをディスカッションを通して企画するワークショップが始まりました。

開始前、富⼭市未来戦略室・浅野さんからワークショップの趣旨について説明がされたあと、全5カ所をまわったという林さんは「それぞれ課題は違っても『自分がこうしたい』というものをそれぞれが持っていることに感動しました」とコメント。その上で、これから開始するワークショップに挑む参加者へ向けて「自分がやりたいと思ったことを、イノベーティブであるかどうか関係なく『やりたい』いう気持ちから埋めていってほしいと思います。わくわくすること・思っていることを書いてほしいです」とアドバイスを送りました。

ディスカッションの時間はおよそ1時間半。16時40分までの発表開始時間に備え、5カ所それぞれにいる参加者が、感染症対策をしっかりとした上で話し合いを行ないました。

## 斬新なアイディアが詰まった発表タイム

ディスカッションのあとは、全5カ所から『イノベーティブスペースを活用したニュープロジェクトを考えよう』をテーマに、各会場をオンラインで繋げながら、1チーム3分間の発表が行なわれました。

まず、交流・共創スペースの『Sketch Lab(スケッチラボ)』から3チームが発表。
子どもたちが詩や音楽などのものづくりに触れる機会を増やすプロジェクトを通して、生きる力・考える力が身につくことで非認知能力が上がり、引きこもりや登校拒否などの問題が減って富山が活性化していくという企画や、富山の街並みに馬を走らせ観光地にした上で空き店舗をチャレンジショップとして配置することで起業支援につなげる企画、すべてのスペースを使って謎解きをする企画が発表されました。

続いて、インキュベーション施設の『HATCH(ハッチ)』からは2チームが登場。
農園と組んで富山の料理を使ったレストランを起業することで、農業をできる人を増やしながら飲食店で食べてもらう行為を通して食を盛り上げていきたいという企画と、『Sketch Lab』と『HATCH』を、割引を通じて共有することでさまざまな人が行き交うことで新しいものが生まれるという企画が提案されました。

『寄処』からは、異文化交流をキーワードに、よそ者と扱われてしまいがちな“旅の人”を歓迎する仕組みを作る企画が生まれ、『花水木ノ庭』のチームは、秋刀魚を焼いたり、流しそうめんをやったりと、昔はあったであろう交流を再現したいと話しました。

最後に『RAIL SIDE TABLE』からは、富山市内の魅力として市電を挙げ、桃太郎電鉄のように財を散りばめることで何か生まれるのではないかという問いから企画が生まれたと経緯を説明し、料理研究家を呼んだり、講演をしたりと、さまざまな出会いの場を提供したいと語りました。

続いては、食品ロスと富山の学生の活気がないことに問題意識を抱いたチームが、学生が余った食材を持ち寄って料理するパーティー企画を発表。「ひとり暮らしの学生は最初のうちに栄養が偏ったりする人も多いので、学生の心のメンタルケアにもつながるのではないか」と問いかけました。

発表のあとには必ず林さんらからフィードバックが行なわれ、ディスカッションがさらに広がっていく場面もありました。

総評では、『HATCH』の伊藤建さん、『寄処』の碓井⼀平さん、『花⽔⽊ノ庭』の沼俊之さん、『RAIL SIDE TABLE』の種昂哲さん、『Sketch Lab』の中村さんからコメントが送られ、場所によって話し合いの雰囲気や発表内容が異なっており、それぞれの強みを把握しながらワークショップに取り組めたことが伺えました。

その後に送られた林さんから送られた「実際にいくつものイノベーティブスペースを行き来し、考えたこと自体が皆さんの価値になっているんじゃないかなと思います。私自身も富山で何かを作りたいと感じました。ぜひ、今ここにいる人たちのなかで考えていきたいです」というコメントでは、充実した発表時間になったことを感じさせました。

また、種昻さんから「今回のイベントだけでなく、これからも”イノスペコミュニティ”として一緒にいろいろ取り組みましょう」と提案があり、それぞれのスペースが快諾していました。

最後に、主催者である富⼭市の未来戦略室⻑・⻘⼭さんが「今日はまったく新しいイベントという形で5つの場所を繋げましたが、いいイベントになったのではないかと思います。林さんから心強いエールをもらったので、いい場所にしていきたいです」と話し、およそ8時間にもおよぶ『イノスペ(INNOVATIVE SPACE DAY)』の幕が閉じました。

すぐに実現できるような企画もあり、これからにつながる、新たな一歩へのはじまりを感じられるイベントとなりました。

参加された皆様、ありがとうございました。