Day2:ありうる未来を考える

2025年9月27日(土)、スケッチラボにて「地域に根差した魅力あるゼロカーボン」を考える第1回ワークショップを開催しました。本ワークショップは、2050年のゼロカーボンシティ実現に向け、市民一人ひとりが「豊かさ」を感じられる未来の暮らしを具体的に描き、その実現に向けたアイデアを共創していくことを目的とし、全4回の開催を予定しています。

第2回は「ありうる未来を考える」をテーマに、4つのグループに分かれてシナリオプランニングの手法を用いたグループ対話を行いました。

プログラムレビュー

ワークショップではまず、未来の富山市に大きな影響を与えうる かつ どう変化するかが不確実な「変化の兆し」を各グループで洗い出しました。

参加者からは、以下のような多様な視点が共有されました。

・ 食文化の変化: 気候変動により、富山で採れる食材や食べ物が変わる可能性
・ 技術発展: AIやデジタル技術の進歩で、人間の仕事や役割が大きく変わる可能性
・ ローカルの価値: 地域の価値がより高まるか、逆に特色が失われ無価値になるか
・ 水の価値: 豊富な水資源の価値が世界的に高まるか、変わらないか
・ 価値観の変化: 環境配慮への意識が高まり、新品よりも中古品を大切にする価値観が育つ可能性

各グループから出された「変化の兆し」の中から、特に重要と考えられる2つの軸を選び、4つの未来シナリオを検討しました。今回選ばれたのは以下の2軸です。

・ まちづくりの方向性:各地で「地域の特色を活かしたまちづくり」がされる
  ⇔ 「まちが均質化」する
・ 公共サービスのあり方: 「公共サービスが遠隔で受けられる」ようになる
  ⇔ 「公共サービスは地域に根ざす」

各グループは、この2軸が交差して生まれる4つの未来(①〜④)のいずれかを担当し、それぞれの世界観やそこでの暮らしといった「シナリオ」を具体的に描きました。

各シナリオの概要を紹介します。

・ ① 地域の特色を活かしたまちづくり × 公共サービスが地域密着の世界
  → 治水技術に優れた「防災エリート」としての価値や、富山の薬のような土地固有の文化が
    再評価される未来。地域に根ざした強みが、まちの魅力と安心感を高めるのではないか。
・ ② 地域の特色を活かしたまちづくり × 公共遠隔サービスの世界
  → 場所に縛られない「ノマド家族」などが、富山の自然を求めて移り住む未来。
    地域の体験的な学びと、都市部の高度な教育・仕事を両立できる、新しいライフスタイルが
    生まれるのではないか。
・ ③ まちの均質化 × 公共遠隔サービスの世界
  → あらゆるモノやサービスが標準化される中で、「なぜ富山に住むのか」が問われる未来。
    お金で買えない豊かな自然、「ネイチャーシティ」としての価値が選ばれる理由になって
    いくのではないか。
・ ④ まちの均質化 × 公共サービスが地域密着の世界
  → まちが均質化し、地域サービスも現状維持に留まった場合、地域の魅力が薄れ、大都市圏
    への人口流出が進むという、やや厳しい未来になってしまうのではないか。

次回に向けて

今回のワークショップでは、4つの異なる「ありうる未来」の姿が描き出されました。希望の持てる未来から、少し厳しい未来まで、様々な可能性を参加者全員で共有することができました。

次回は、今回描いた「ありうる未来」を踏まえながら、私たちが本当に住みたい、実現したい「ありたい未来」はどのような姿なのかを具体的に考えていきます。